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街頭ラジオ 「ラジオ塔」 が堺の大浜公園 (堺区大浜北町) 内 (同園内プールの南側) に現存していることが発見された。 そのラジオ塔を保存するとともに観光資源として活用するため、 ラジオも受信できる修復レプリカも制作、 昭和初期の風景が堺で再現されることとなった。 ラジオ塔は、 昭和5年 (1930年) に大阪中央放送局が天王寺公園に初めて設置されたといわれており、 これを皮切りに全国の公園、 神社、 広場等に設置された。 大浜のラジオ塔は当時の大浜水族館庭園内に昭和8年に建設され、 堺の名物の一つとして一般公開されていた。 産業環境委員会 (平成21年12月15日)、 都市魅力・観光文化対策特別委員会 (同22年7月21日) など堺市議会で地元の加藤均市議はこのラジオ塔の保存、 観光資源としての活用を提唱した。 これを受け、 市も施設を調査し、 この歴史的建造物を何とか保全していく方針を検討し、 当時市民が聴衆していた環境に回帰させようと、 同公園内市民広場に移築を決定した。 しかし施設の老朽化が進んでおり、 ラジオ塔本体の移築が不可能と判断、 本体を忠実に復元したレプリカの設置に踏み切った (当時のまま残されているラジオ塔も保存される)。 設置にあたり、 昭和初期の意匠復元に伴うエイジング処理を施し、 ラジオ塔内には音響設備を内蔵、 プログラムタイマーにより、 朝6時30分にはラジオ体操が、 正午などにメロディーが自動的に奏でられている。 今月中には日本語・英語の2カ国語の説明版も設置される。 長年、 ラジオ塔の調査など歴史遺構の保存活動を進め、 平成19年に大浜のラジオ塔を発見した昭和の庶民史を語る会・戦争遺構研究会代表の柴田正己氏は 「加藤均先生、 堺市のご尽力で大浜公園の貴重なラジオ塔が保存・活用される事になり喜んでいます。 有難うございます。 以前、 大浜公園のラジオ塔の見学会の時、 ラジオを流して楽しんだ事がありました。 今回のレプリカの保存と同時に、 ラジオ放送、 ラジオ体操もされるそうで意義深い事だと思います。 当時の旧ラジオ塔をかけがえのない近代化遺産として正しく評価し、 文化財に指定して活用するようご検討ください。 我々の調査では、 戦前、 全国の公園、 神社、 広場などに約460基程のラジオ塔が建てられていました (現在調査中で22基の現存が確認されています)。 堺市の大浜公園、 大阪城、 和歌山城、 明石市、 大阪の中之島公園などに現存しています。 群馬県前橋市では、 近代化遺産として登録文化財に選定されています。 京都の円山、 小松原、 紫野柳、 船岡山、 御射山、 萩、 西本願寺などの公園に現存しています。」 と話す。 堺市産業振興局観光部は坂本弘毅部長は 「ラジオ塔の復元は、 大浜公園周辺に貴重な観光資源が新たに増えることであり、 堺旧港周辺の周遊に彩りを添えるものと考えます。 夏にはラジオ塔復元を記念した、 夏季巡回ラジオ体操・みんなの体操会の開催も決定しました。 これらと併せましてラジオ塔のPRなどに努め、 観光集客に力を図ってまいります。」 と話す。 加藤均議員は 「歴史を物語る貴重な資産を後世に伝えていくことが重要。 また、 この大浜公園付近には旧堺灯台、 蘇鉄山などの観光資源がある。 ラジオ塔も一つのシンボルとして親しんでもらえると思います。 さらに大浜公園一帯の情報発信、 堺の情報発信につなげていきたい」 と語る。 堺市市民人権局スポーツ推進課などの尽力により、 8月25日にはこのラジオ塔の前で2000人規模のラジオ体操 「平成23年度夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会」 (主催・鰍ゥんぽ生命、 日本放送協会、 全国ラジオ体操連盟) が行われることも決定しており、 この模様はNHKラジオ第一放送で全国で生中継される。 |
このところ、 中国、 インドのみならず、 新興アジア諸国に対する評価が大きく変化して来ており、 その存在感が急速に増している。 それらの諸国の消費傾向が変化しているばかりでなく、 生産国としても、 微妙に変質しつつある。 これまで通りの単純な消費市場としてこれらの諸国を抱えることは出来ないし、 生産国としての変化にも、 注目しなければならない。 日本を始めとする先進諸国からの技術移転による生産力の向上と、 それによって内需の成長が促がされ、 労働者の平均所得の向上も見られるようになった。 このようにして、 これらの諸国では、 生産と消費とがスパイラル状に拡大し、 成長の登り坂を進むようになったといわれる。 しかも、 アジアではこうした国々が連鎖していることに特色があり、 それが20世紀末からのアジア新興国を全体として成長軌道に乗せていることが、 とくに注目されるのである。 こうした事態に対応して、 わが国がいかなる方策をとるべきか、 大きな転機に直面している。 現実には、 必ずしも満足な対応が為されているとは思われない。 わが国の景気動向が一向に冴えず、 停滞気味であるのに対して、 これらアジア新興国が活気に満ちており、 元気のいいことを伝える報告がとみに増している。 筆者も、 教え子の小林武雄君が台湾丸紅社長、 台北日本人会会長として活躍していることもあり、 昨年十一月に台湾を訪問する機会があった。 数年ぶりの訪問であり、 その際、 東亜経済会議台湾委員会の牽晏宏秘書長らと会談したが、 何よりも驚いたのは、 彼らの元気のよさと活気に満ちた台湾経済の状況であった。 これに反して、 内閣府の発表によれば、 わが国の平成22年10〜12月期のGDP季節調整値は、 実質前期比0・3%の5期ぶりのマイナス成長となった。 個人消費が0・7%減、 輸出も7%減であり、 投資動向も相変らず低滞している。 23年1〜3月期のプラス転換が期待され、 この景気の踊り場は一時的との見方が強いものの、 それも専らアジア向け輸出の好調が頼みの綱である、 とされる。 内需振興などは程遠く、 依然として輸出に依存する体質は変らず、 それもアジア新興諸国へのそれが大であるということであれば、 その対応は何よりも重要である。 とにかく、 アジアでもわが国だけが景気が停滞し、 元気がないという現実にどう対処すべきであろうか。 堺市は、 歴史的にこうした諸国と深く豊かなつながりを持った伝統があり、 現に堺国際交流協会を中心に、 アセアン諸国、 とくにインドネシア、 ベトナムなどとの交流を積極的に行っている。 そのような意味で、 アジア諸国との新たなつながりを率先して展開するにふさわしい存在である。 堺市のさらなる積極的活動を大いに期待する。 |
生 田 正 輝 (慶応義塾大学名誉教授) |