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2月20日、 ベトナムのダナン市訪日団が堺市を訪れ経済交流のさらなる強化などを盛り込んだ交流確認書を交わした。 |
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特定非営利活動法人 堺国際交流協会と堺市の共催により 「民間大使プログラム」 が1月28日から2月5日まで実施された。 (協力 堺市教育委員会) 期間中、 ベトナムの国立ダナン外国語大学で日本について学ぶ大学生が、 民間大使として堺市内の幼稚園や小学校を訪問してベトナムを紹介。 また、 一般家庭へのホームステイや文化施設の視察を通して日本文化を学び、 日本とベトナム間の友好交流と相互理解を深めた。 「大使」 として来堺したのは同大日本語学科の女子学生、 グエン・ティ・ニュ・イーさんとホ・タオ・グエンさん。 また引率教員としてグエン・ティ・ホン・ゴックさんも同行した。 訪れた三国丘幼稚園では、 元気いっぱいの園児とともにベトナムの民族衣装の紹介、 食べ物、 乗り物、 伝統的な遊びや一弦琴の演奏、 チャム族の踊りなど、 実際に園児が体験できる授業を行い交流を深めた。 榎小学校では3年生が日本の歌で民間大使を歓迎。 授業ではベトナムの位置、 気候、 挨拶、 伝統舞踊の演舞、 楽器の演奏、 水上人形などを紹介した。 小学6年生との交流を行った登美丘西小学校では、 ダナンは世界遺産への道であるホイアンやフエへ通じる場所であることを説明し、 日本人によって作られた橋のあるホイアンやフエ王朝の舞踊、 楽器の演奏を生徒たちと一緒に行った。 堺民間大使としてインドネシアを訪れた経験もある渓芝会会長、 田端芝蘭氏 (神戸女学院大学講師) が指導する教室では書道を体験した。 田端氏は 「3人の書はとても上手く、 書道の心を理解している。 『堺っ子書道展』 で特別展示できるよう推薦したい」 と取り組む姿勢と共に作品も評価していた。 博物館など市内各所も視察、 堺市茶室では千利休が創設した茶の湯の雰囲気を堪能した。 グエンさんは 「日本を訪れその文化に触れることは私の夢でした。 今回経験したことを今後の人生に活かしたい」 と感謝の言葉を述べていた。 |
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このところ、 堺市の国際交流、 とくに東南アジア諸国との間の積極的な交流活動の展開が注目される。 もともと、 堺市の中世からの海外との関係、 とくに東南アジア諸国との貿易港として発達した長い歴史と伝統を考えれば、 国際交流が活発なのは決して不思議ではない。 しかし、 今日の国際交流が、 広く国民的レベルにおいて展開される、 いわゆる草の根レベルの交易、 外交が不可欠であることはいうまでもない。 また、 今日の地方自治体のあり方に鑑みれば、 それぞれ特質を生かして行くことが重要であることも明らかである。 そのような意味において、 堺市における国際交流の活動が活発なのは好ましいことであり、 なお一層推進さるべきであろう。 今日までの堺市のこうした活動を顧みる時、 やはり堺市当局や 「特定非営利活動法人 堺国際交流協会」 (加藤均理事長) らの、 長年にわたる活動があったことを指摘せざるを得ない。 そうした努力が実って、 東南アジア諸国との交流が次第に深まり、 今年にはベトナム総領事館が大阪から堺市に移転することにもなったのであろう。 堺市には、 昨年十二月から 「アセアン交流推進室」 が設けられており、 東南アジア諸国には経済交流ミッション」 を派遣するなど、 さまざまな活動を展開している。 さらに、2003年から、 「堺歴史文化交流会議」 を開催しており、 市制施行120周年を迎えて、 アセアン諸国との交流を深めるための 「堺・アセアン週間 (仮称)」 を9月上旬に行うという。 堺国際交流協会も多彩なプログラムを実施して来た。 昨年度には、 堺市、 インドネシア共和国ナショナル大学との共催で、 「大衆文化に見る日本人の思想」 という学術セミナーをインドネシアで開催した。 また、 2006年から、 インドネシアのナショナル大学日本研究所の協力で、 インドネシアの文化や言葉を堺市の小中学生に紹介する、 「民間大使プログラム」 も多大の成果をおさめている。 このプログラムは、 さらにベトナム、 タイ、 カンボジアなどに拡大されつつあるという。 「堺・アセアン週間」 に際しては、 このほかに 「学生フォーラム」、 「メディア会議」、 「文化紹介」 など多くのプログラムによって、 相互の交流を深め、 その質を充実させることが計画されている。 すでに指摘したように、 このような国際交流の展開は堺市に誠にふさわしいものであり、 堺市の発展のために一層積極的に展開することが期待されるのである。 筆者も、 これらの諸国を度々訪れており、 教え子がベトナム、 インドネシアに企業進出して活躍していることもあって、 強い関心を抱いている。 アセアンとの交流の進展を切望する所以の一つでもある。 |
生 田 正 輝 (慶応義塾大学名誉教授) |