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未来を切り拓く
堺の展望
―永藤英機・堺市長に聞く、新しい年への思い―

永藤 英機 堺市長
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- あけましておめでとうございます。
- 【市長】
- あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては清々しい年の始まりを健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
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- 昨年の堺の動きや成果を振り返って、特に印象に残っていることを教えてください。
- 【市長】
- 令和7年は、堺の将来にとって重要な一年でした。
4月から10月まで開催された「大阪・関西万博」では、堺市としてもまたとない貴重な機会として、万博会場での春・夏・秋の主催催事に加え、海外の国々や多彩なパビリオンとの連携等を通じて類いまれな堺の歴史や文化、産業などの魅力を国内外に広く発信しました。万博会場内外で繰り広げた数々の挑戦を貴重なレガシーとして堺の成長・発展につなげます。
また、万博会場に近い咲洲と堺を結ぶ「大和川リバーサイドサイクルライン」が3月に開通し、「サイクルシティ堺」に大和川の景観を楽しみながら自転車で快適に移動できる新たな魅力が加わりました。
そして、昨年は全員喫食制の中学校給食が6月から始まり、小学校給食では無償化を国の方針に先駆けて段階的に進めています。安全・安心で栄養バランスのとれた美味しい学校給食を提供し、こどもたちの健やかな成長を応援します。
10月からは大仙公園での気球の運行がスタートしました。「都市化された人口密集地に奇跡的に現存する古墳群」を体感していただくことで「百舌鳥・古市古墳群」の価値と魅力を更に広め、後世にも守り続けることができるよう力を注ぎます。
他にも伝えたいことがたくさんありますが、堺の貴重な歴史資産を活かしながら未来に向けた多くの挑戦を進めることができたと考えています。
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- 堺の魅力や賑わいを更に生み出すために、どのような取組を進めていますか。
- 【市長】
- 先にお伝えした万博での多面的な挑戦は堺の魅力向上にも効果を発揮します。例えば、春の催事では千利休が生まれ活躍した堺市として、伝統的な茶の湯に加えて特色ある茶室や現代アーティストが制作した茶器など新たな発想を取り入れた茶の湯も実施しました。
歴史ある堺旧港からは万博会場である夢洲を結ぶ船が定期運航されました。堺旧港では海辺空間を活用したホテルやレストラン等の魅力的な施設がオープンし、今後もカフェや屋台村の開設が予定されています。
万博では多くの国々と積極的に連携することにより多彩な企画が実現しました。中世の時代に国際貿易都市として「黄金の日日」と称されるほどの繁栄を極めた堺が、今や将来にも国際都市として存在感を発揮できるように万博のレガシーを最大限に活かします。
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- 最後に、市民の皆様へ新年のメッセージをお願いします。
- 【市長】
- 今年の干支である「丙午」には「情熱やエネルギーをもって力強く突き進む」意味があるとされています。これまで培った挑戦の成果を活かし、市民の皆様がこれからも堺で安心して暮らし続けることができ、将来にも夢と希望が持てる都市であるように力を尽くしますので、皆様には引き続きご協力をいただけますと幸いです。
新たな年が皆様にとって幸多き素晴らしい年となりますことを心よりお祈り申し上げます。
社説
米国国家安全保障戦略
海上自衛隊第41代呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授
伊 藤 俊 幸
新年あけましておめでとうございます。
さてトランプ政権が十二月五日に発表した二〇二五年版「国家安全保障戦略(以後「米安保戦略」)」に「トランプ版モンロー主義」という表現が記され、「アメリカは台湾を守らない」「中国とは取引しか考えていない」といった論調が国内メディアに現れています。しかし、この「米安保戦略」を丁寧に読み解くと、こうした受け止め方は間違っていることがわかります。
そもそも「モンロー主義」とは「欧州諸国はアメリカ大陸に干渉しない。米国も欧州の政治には干渉しない」という勢力圏の原則で、単純に「孤立主義」を意味するものではありません。
今回の「米安保戦略」では「トランプ版モンロー主義」を導入するとして、「西半球(北米・南米)は死活的国益」と定義しました。ただその意味は、中国やロシアの浸透を拒むという文脈で使われているのです。
その一方で、「第一列島線のどこであれ侵略を拒否する」という極めて強力な表現を用いて、東アジアに対する軍事的・政治的決意を表明しています。
確かにこの「米安保戦略」には「台湾」という言葉は出てきませんが、「台湾」は第一列島線の中心に位置しています。名指しを避けたのは台湾への関心が薄れたからではなく、曖昧戦略をとっているためです。「台湾」の重要性が下がったわけではないのです。
さらに「米安保戦略」は、日本と韓国に対して、防衛費の増額や新しい抑止力の整備を求めています。これは米軍だけで第一列島線を守る時代は終わり、日米韓がそれぞれ役割を果たしながら地域の安定を支える時代になった、ということを意味しているのです。アメリカがアジアから退くのではなく、大国たる日本に、「もっと前面に立ってもらいたい」と訴えているのです。
さて中国は、この「米安保戦略」を「アメリカの東アジアからの後退」ととらえた可能性があります。十二月六日の自衛隊機への火器管制レーダー照射、九日の中露爆撃機の共同飛行という挑発行動は、明らかにに在日米軍の反応を確認した可能性があります。
実際、日米は十日にB五二米爆撃機二機を自衛隊機三機が護衛飛行、十二日には米空母と海自艦艇が共同訓練を行い、中国軍の行動にカウンターを当てました。
いま日本に求められているのは、第一列島線において日米同盟が抑止力を発揮できるように、主体的に防衛力の強化を果たさなければならないということなのです。