堺の今むかし巡り(2)
「風車のある光景」

一心堂書店(湊駅前) 鎌苅一身

湊・石津を中心に林立する風車
(昭和33年、撮影 中田鐡氏)
湊・石津を中心に林立する風車
(昭和33年、撮影 中田鐡氏)

 風車は、風力による羽根の回転運動をクランクで上下運動に変え、手動ポンプに繋ぎ地下水を汲上げる装置である。
 堺海岸地帯は砂地で保水が悪く、数メートル掘れば湧いてくる地下水を風車で汲上げ、ためた泉水池よりミツバ・ネギ・キクナなどの軟弱野菜に給水栽培する都市近郊農業が盛んであった。
 桶(底抜けタンゴ)の底板の穴を棒で持ち上げ、そこから円状に効率よく散水出来る。二つの桶で40キロ程もあり相当な重労働だ。昔の人の体力には感心する。
 堺の湊・石津を中心にこの灌漑風車は昭和20~30年代には200基以上もあったとされ、全国で最も発達した地域である。池には植物が繁茂し、ゲンゴロウ・ミズスマシ・カエルが遊び、ヤンマが飛び交う生き物の小宇宙であった。現状撮影の時、ヤンマが飛んで来たのには驚いた。「カランコロン」と音を立てて回転する懐かしいのどかな夏の風物詩であった。
 しかし海が埋め立てられ、住宅の過密化、汲上げポンプの普及により消えていく。
 現役の風車は存在しないが、新湊小学校と大泉緑地にその姿を見ることが出来る。自然の力のみを活用した堺の誇るべき近代農業遺産であり、今で言う最先端のエコロジーであった。
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 読者の皆様から、堺の「昔の風景」写真を募集いたします。商店街、建物、学校、駅舎、祭り、行事など。編集部と一緒に堺を巡りましょう。プリント、郵送で。〒590―0948 堺区戎之町西1丁1―30 堺ジャーナル編集部まで。

現在の堺区出島町5丁
(塩穴通・高架は南海本線)
現在の堺区出島町5丁
(塩穴通・高架は南海本線)



119番、その前に!
堺市消防局

救急要請の注意点
 熱中症を疑う症状があり、意識が無い、自力で水が飲めない場合は、急いで119番通報し、救急車を要請してください。
 急な病気やケガで救急車を呼ぶか、自分で病院に行くか、判断に迷う場合は、左記「救急安心センターおおさか」をご利用ください。
関係連絡先
救急安心センターおおさか
#7119(24時間365日対応)
 熱中症に注意が必要です。こまめな水分補給やエアコンなどを使用した室内の温度管理など、しっかりと熱中症を予防してください。
 また、「手洗い・消毒」「咳エチケット」「3密の回避」など、感染症対策へのご協力を引き続きお願いいたします。熱中症の情報については、堺市消防局ホームページにも掲載しています。






『昭和史を考える記録映像上映会』

 「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」日本は無謀な戦争への道を選択したのか。「巨大組織〝陸軍〟暴走のメカニズム2」9月10日11時~堺市立東文化会館(北野田駅前)アミナス3階で。主催 昭和の庶民史を語る会(072―236―3357)。
 『建築家・丹下健三あれこれ』9月17日11時~12時30分、堺市立東図書館(北野田駅)講師は明治建築研究会代表 柴田正己氏。堺生まれの建築家 丹下健三設計の現代建築を幻燈で見ながら知られていない「幻の南海高野線北野田駅前再開発計画案」について話します。
 ともに参加無料、直接会場へ。


税金豆知識
〝相続における法定相続分と遺留分について〟

 人が死亡して遺産相続が発生した時、遺言書による相続方法が指定されていない場合は法定相続人が全員参加して「遺言分割協議」を行う必要がある。その際、「法定相続分」に応じて遺産相続方法を決定するのが相続の一般的な手順である。が、高額な遺贈や贈与が生前中に行われている場合、法定相続人であっても充分な遺産を受け取れないケースも発生することがよく見られる。そんな時に遺留分を認められる相続人は最低限自分の遺留分までは遺産を取り戻すことが出来るのである。尚、遺留分とは兄弟姉妹、甥姪以外の法定相続人に対して保証されている「最低限の遺産取得割合」を言う。
(一)法定相続人の範囲と順位
 法定相続分が認められる法定相続人とは、配偶者と子ども等の直系卑属、親などの直系尊属、兄弟姉妹と甥姪である。順位については紙面の都会上当局にてご指導を。
(二)遺留分が認められる人の範囲
 遺留分が認められるのは、配偶者と子ども等の直系卑属、親などの直系尊属のみであり、兄弟姉妹と甥姪に遺留分は認められない。又、遺留分権利者には法定相続人と異なり「順位(順序)」はない。
(三)問題点
 法定相続分は「遺産分割」の際に法定相続人が全員参加して遺産分割協議若しくは調停をして遺産を分ける必要がある。その場合、基本的には「法定相続分」に応じての遺産分割となるが金額的にはきっちりとそのようにならないケースがあり、法定相続人全員が納得すれば異なる割合があっても可能である。が、遺留分が問題となるのは「不公平な遺贈や贈与があったとき」である。この場合は全員が権利行使する必要はなくても遺留分権利者が個別に侵害者に対して遺留分侵害請求を行いお金の取り戻しを請求することができ、その行為は他の遺留分権利請求者が請求しなくても1人で遺留分侵害請求を行ってお金を取り戻すことが出来るのである。
 このような複雑な事案が生じた場合は税務当局若しくは専門家にご相談を。

税理士 大西 正芳