次へ

巨大さ、王の中の王だ!

百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に

加 藤 均 恒例 新春放談
〝即位、改元、新しい年号の日本〟でスタートする二〇一九年。国をあげて、お祝いの声が高まるなか、特に百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産への国内推薦が実現し、SAKAIがSEKAIに一層注目を集める年。市制一三〇年、市長一〇年目の竹山修身・堺市長と、特定非営利活動法人 堺国際交流協会・日越堺友好協会の加藤均理事長との新春恒例対談。佐藤一段・政治経済評論家の司会で、イノシシ年らしく元気よく語り合った。
堺の「今年」を語り合う竹山修身堺市長(中央)、加藤均理事長(右)、佐藤一段政治経済評論家(左)
世界遺産登録を目指す百舌鳥・古市古墳群(仁徳天皇陵古墳)

堺市制一三〇年・竹山修身市長一〇年目に
日越堺友好協会 加藤均理事長の熱意

それでは新春対談に入ります。ことし年初から考えなければならないのは、切実な防災体制の充実ではないでしょうか。昨年は例年の如く台風、水害、地震があって、山野から住宅地まで被害を受けました。
 それぞれの対策強化が課題になっていますが、そのあたりから…。
竹山

 そうですね。昨年は6月に大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号を経験して、我々は安全安心がすべての施策に優先すると再認識したところです。昔から言われる〝治山治水〟こそが、すべての行政の根本であることがよくわかりました。

加藤
 それで11月に、いきなり堺市の職員をあげての防災訓練を、〝シナリオなし〟でおやりになった。あれは、ほんとによかったですね。
竹山
 震度7で大阪の上町断層帯が地震で動いたという仮定で、各部局はどう対応するか。普段からこういう有事訓練をやっておかないといけません。特に大事なのは、受援計画といって、こちらは災害であらゆる機能が止まっている状況で、応援に来て下さる他市の援助を、どう受け、生かすか。想定外と言われるところまで想定して、成果をあげることこそ、我々の責任なんですから。
備えあれば憂いなし。
竹山  あらゆるケースで市民の皆さんの安全を守らねばなりません。
たしかにあらゆる備えありて、憂いなしですね。ところで加藤さん、どんな年に?
加藤 いろんな行事がたくさんあって、とりわけ忙しい年になることでしょう。4月に地方選挙、統一選挙、参議院議員選挙、4月から5月に御即位、改元。

エジプトのピラミッドを
はるかにしのぐ威容

世界遺産登録に向けて市長も忙しくなりますね。
竹山  私は6月末からアゼルバイジャンの首都バクーで開催される世界遺産委員会に参加します。
 委員会では、百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の可否が決定されます。
 古墳と言えば昨年、宮内庁に堺市も協力して仁徳天皇陵古墳の発掘調査を行い、第一堤から、円筒埴輪が出て来たんですね。石敷きというこぶし大の石もかなり広い範囲で敷いてあるんです。
(次頁へ続く)


社説

長期化する米中覇権争い

元海上自衛隊呉地方総監
金沢工業大学虎ノ門大学院 教授

伊 藤 俊 幸

 新年おめでとうございます。二〇一九年は新元号に変わる年ですから、変化に伴う終わりや始まりがある年になるのかもしれません。一方、昨年から始まった米中貿易戦争は、今年も終わりそうにありません。それは米国にとって単なる経済摩擦問題ではなく、安全保障問題だからなのです。
 昨年十月四日、ペンス副大統領が行った四十分間のスピーチは、「新冷戦への号砲」と米国メディアでは報じられました。
 スピーチ内容の一部には「〝中国製造二〇二五計画〟により、官民あげて米国の知的財産を獲得、ロボット、バイオテクノロジー、AIなど世界の先端産業の九〇%の支配を目論んでいる。」「米国企業を買収し、最新武器の設計図などを盗み、莫大な数の武器を作っている。」「二〇二〇年までに、〝ジョージ・オーウェル的〟な人間のあらゆる側面を管理する、〝社会信用システム〟を構築しようとしている」「アジア、アフリカ、欧州、中南米にまで、不透明な融資条件の〝債務外交〟を展開し影響力を拡大中だ。」それはまるで検察が法廷で起訴状を読み上げるがごとく、中国の国家犯罪を長々と列挙したのでした。
 更にこのスピーチ当日、米国防省から衝撃的な報告書も公表されました。米軍への供給にかかわる製造業の基盤を調査した百七ページに及ぶ同報告書は、米軍事産業基盤の三百に及ぶ弱点を指摘しました。これらは機密扱いですが、いくつかの具体例が取り上げられ、例えば、レーダーなどの製造に必要なレアアースの多くは、〝中国が唯一の供給元になっている〟と指摘しました。
 この報告書をうけ、ピーター・ナバロ国家通商会議局長は、「過去の政権は、アメリカ企業が長年かけて開発した知的財産を中国が盗むのを許し、アメリカの雇用と製造業を他国に大量脱出させる要因の一つになった。そしてトランプ大統領はその大量脱出を覆しつつある。」と論じました。
 数年前から始まった米中の覇権争いは、昨年七月からの経済制裁で表面化しましたが、これは長期化します。地政学的に両国の争いの足元に存在する日本は、今年も更に難しいかじ取りが求められることになるのです。